秋のお彼岸は多くの念仏者( 門徒) が残暑のなか本堂に3日間も足を運ばれ、仏徳の賛嘆と仏法の聴聞をします。阿弥陀仏の大慈大悲の功徳を聞き学ぶための営みが彼岸讃仏会となり毎年繰り返されてきました。なによりもこの聞法を通して実現する歓喜の一念がお念仏の心として完成します。報謝の念仏は報恩行とも呼ばれています。仏縁によって仏様の智慧の眼を戴き、その眼で自分の本当の正体が見通せたとき、深い安堵と感謝の念となって我が身を突き抜けます。この心情が報恩行の核心を形成しています。
鎌倉から室町時代にかけて、日本人の心の骨格が形作られました。その骨格の一つになったのがお念仏です。お念仏によって自律した民があの混乱の時代をしたたかに生き抜き、日本人の深くて豊かな精神を形成して来たことは注目に値します。この時代に本願寺は大阪石山(後に秀吉によって解体され大阪城になる) にありました。法要中は八藤と桐の大幔幕が本堂正面に掲げられます。八藤紋と桐紋の由来は五百年前の石山本願寺の由緒紋です。紋の由来からも日本におけるお念仏の相続が如何に苦難に満ちたものであったかをうかがい知る事ができます。仏事の基本は仏徳賛嘆にあります。まず清掃からはじまり、仏前を荘厳し、お灯明を上げ、お香を捧げます。身を正して背筋を延ばし、躰の中心に両手を合わせ合掌をし、静かに礼拝します。教典を読誦し、経文の一句一句を脳裏に刻み込み、そのお徳を戴きます。最後に廻向を唱え、感謝の気持ちが称名念仏として発音されます。
本徳寺コーラス部が今年も法要の前後に素晴らしい仏讃歌を奉じます。ざわめきが一瞬静まり、次の瞬間仏徳讃歎の空気が御堂に満ちあふれます。仏説を聞く前には、心身共に調御していなくてはなりません。迷いの真っ只中にある凡夫が、その迷いを突き抜けてくる大悲の働きのなかで、自らの進むべき道を見出すための理想的な催しだと思います。
お説経は法要の後のフォローアップです。難解なお経の内容を分かりやすくかみ砕いて主に言語理解の回路を通していただくものです。自分かってな仏法に対する理解を見直したり、色々な方々の教説を拝聴してより深い味わいを戴くことが肝要です。
初心者にとっては、阿弥陀仏の大事業をこの身を通して聞かせていただき、生死の檻に閉ざされた命を直視する智慧をいただく第一歩です。仏教とは何よりも「私が仏になる教え」です。ぼた餅も口を開けねば頂けません。自らがことを起こさねば話が始まりません。その助けになるのが、お寺の行事なのです。従って、この行事は私一人のために執り行われているつもりで臨んでいただければ有り難いことです。
本徳寺有縁の皆様方に、下記お彼岸のご案内を申し上げます。
お知らせ
2023 秋彼岸讃仏会
2023年9月3日 行事
9月22日から24日までの3日間、コロナ前の行事に戻り、お彼岸の行事を勤めます。彼岸とは此岸に対するものです。此岸とは三業の苦楽に明け暮れる娑婆の日常世界。死んだら終いという固定見にとらわれた世界です。われわれはこの娑婆界で老・病・死を修行して、仏智に目覚め、迷いの「私」を捨てて信心一つで浄土のさとりにいたります。これを彼の国に到と言う意味で到彼岸と言います。
2023 永代経法要
2023年3月30日 行事
亀山御坊永代経法要のご案内 (4/15・4/16) 本徳寺では毎年4月に、永代経法要が勤められます。「永代経」という名のお経が別にあるわけではありません。仏の願いに目覚めた人が尊いみ教と仏のお徳を子々孫々に伝えるために勤 …
亀山本徳寺で行われた様々な催しの樣子をご覧いただけます。
蝋燭能、音楽祭、映画ロケ、モダンダンス、書道展など、本徳寺ならではの空間を生かし多岐にわたる表現の場を提供しております。