浄土真宗本願寺派(西本願寺派)

ご門徒御二人による寄稿

本徳寺の晨朝茶話会にいつも顔を見せる法性寺のご門徒二人を紹介してみよう。一人は麗姫会の会長である加集道子さん。加集さんは既に八十を超えておられるが、麗姫会活動を陣頭指揮し今だ健在。毎日の命を精一杯満喫しておられるようだ。いつもみんなが感心する。

もう一人は、大島米美さん。若いときには観光バスのガイドさんとか、長い間、ご主人の介護に従事しておられながら、微塵も愚痴を溢さない。いつでも気持ちのこもった言葉が飛び散る様は有り難い。いつも境内の草抜きに励み、本徳寺の植生に一番詳しい。このお二人に、どうも書くことは苦手てだとおっしゃるのを無理を承知で日頃の心境を語っていただいた。

私の一日  (加集道子)

玄門脇の栴檀の花が咲く頃は、御坊の境内は栴檀の香りで一杯になります。以前、大広間の前庭に張り出すようにして立派な藤棚がありました。ちょうどこの頃に藤の花がほころび、目を楽しませてくれました。残念なことに境内の整備事業の一環でなくなってしまいましたが、いまだにこころに残っています。そんな思い出をたよりに、私の趣味の貼り絵で藤の花の再現をしたほどです。

さて、私の一日についてご紹介したいと思います。

いつもは、朝六時の御坊の鐘で目をさまし、ゆっくり朝の仕度をして、七時に御坊の晨朝勤行にお参りします。本堂で正信念仏偈をとなえ、本山と同じように毎日ご和讃は変わります。次に仏説阿弥陀経を頂きます。その後は蓮如堂へうつり讃仏偈をあげて、ご住職のお話(主にご和讃の解説)を聞かせて貰い、八時半には終わります。

行事のある日は、世話人さんや参詣者の皆さんに昼食を用意するのが麗姫会の仕事です。こんな日は、朝早くから当番の麗姫会のみなさんが台所に勢揃いしています。お晨朝そこそこに、そのまま表台所へ出向いてお昼の献立を立てて食事をつくります。用意の食事は毎回参詣の人数が変わるので大変です。足りなくならないように調整するのが腕の見せ所です。

行事のない日は、お晨朝のあとすぐに家に戻り、一人でお茶を飲みながら、その日の新聞をゆっくり読んだり、読書をしたりして午前中をすごします。

土曜と日曜は、お朝事に遠近より参加する人が多く、お朝事あとみんなで寺務所の応接に集まり、日頃の出来事を中心にいろいろな会話が飛び交います。ご住職も参加されて楽しい一時になります。時には子供連れの若い方もおられ大変賑かになります。

普段の午後はお稽古(銭太鼓)のある日、公民館に出向き、先生をお迎えして銭太鼓の練習をします。頭と身体を気持ちよく使えるので、これが一番私の建康の源です。この太鼓の練習の成果は、麗姫会主催の五月二十一日の降誕会の演芸会で皆さんに披露して喜んで貰っています。一石二鳥とはこのことでしょうか。

御坊さんでは、十五年ほど前に落慶法要をきっかけにコーラス部が結成されました。仏教讃歌を中心に老若男女が、毎月三回ほど大広間に集まって二時間ほど、楽しく歌います。普段大きな声を出すことはあませんが、この時ばかりは誰はばかることなくストレスを発散させます。

その次に楽しいのは旅行です。おさそいがあって、日時が会えば喜んで参加させて貰います。このように一人自由に毎日好きなことをして元気に楽しく暮らせる幸せを心から感謝しています。

このように、お寺との関わりは日々の喜びを生み出す大きな御利益をいただけます。皆様、朝の晨朝勤行を始め、御坊の行事の日には万事繰り合わせてお参りしようではありませんか。

どうか皆様のお参りを心よりお待ちしております。

本徳寺と私と花と (大島米美)

ご住職が、こんな私に御坊さんの花のことを書いてと言って下さった。嬉しかったけど、しゃべるのは得意やけど、なんぼ考えても無理や。原稿用紙を買いに行くまでに、二週間もかかった。

ドキドキ、ハラハラが毎日に強くなっていく。私のそれが、お父ちゃんに伝染し、血糖値の数値が高いまま下がらへん。わぁ〜熱まで上がって来た。どないしょ。締切りが近づいてくる。どんなことになるか、書かなしょないあ。

朝、目が覚める。わぁ〜生きとう。手も足も動くぞ、「お父ちゃん、おはよう」。二人で一日が始まる。幸せや。今日も頑張るぞ。お父ちゃんのことしてから、七時、御坊さんへ。

大門をくぐると、新緑の中に、静かに私を迎えてくれる御坊さん。どの木も、花も、雑草も私を待っていてくれる。今日も来られた。種を撒き、水をやり、草を引き。広い境内を自由に、好きな場所に、花を咲かせ、花と共に暮らし、花から、土から、力をもらい、お父ちゃんのことを見守ることが出来る。感謝の一日を過ごしている。

ある日、ベトナムの女性ガンさんがお参りに来て、白つめ草を見ていた。花に興味があるのかと思い、大広間の天井画を案内した。蓮、桜菊、椿、朝顔、石楠花、藤、など日本の花、アネモネ、パンジー、シクラメン、バラなどの洋花。日本語で話したけど、通じたんやろか? 「蓮はベトナムにもある」と言ったから、分かったんかな? 数日後、友人を連れて来てくれて、お朝事の終わるのをまっていてくれた!ワァ〜。感激。日本語通じた。

春、三月は梅、紅梅、白梅、ろう梅、黒ろう梅、四月は桜、古代桜、しだれ桜、吉野桜、御坊さんは花盛り。五月はツツジ、菖蒲、親鸞聖人降誕会の二十一日頃は、あの大木の栴檀が満開になる。五月の風に揺れ、清浄な香りを一面に漂わせ、私の中では、御坊さんは、さながら、お浄土なのだ。

栴檀の花の下で、五月の爽やかな風が運ぶ気高い香りに包まれて、草を引く手を止めて本堂の大屋根を見る時、「ああ! ありがたいなあ! 守られているなあ!」

今日、一日、頑張るで、お父ちゃんと一緒に。と笑顔になれる「私」。

PAGETOP
Copyright © 亀山御坊本徳寺 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.