BS朝日「五木寛之の百寺巡礼」3/23(木) 21:00~
“私たちの心のふるさとはどこにあるのか。それを探して始まった百寺巡礼。この旅の果てに何が見えてくるのか。”
作家・五木寛之が、全国各地の寺院を巡りながら、日本人の原風景・原点とは何かを見つめ直した名番組「五木寛之の百寺巡礼」がBS朝日で再放送されています。
毎週木曜 夜9時からの放送です。3月23日(木)に亀山御坊本徳寺が紹介されます。是非ご覧下さい。
真宗文化研究室・大谷より
近代以降、外来文化の流入は歴史的な体験を欠落した知識だけの普遍主義となって日本を覆いました。この普遍主義は近代という国家お墨付きの価値序列を与え、日本人を( number one )競争に駆り立てることに成功しました。特に戦後の混乱から日本の国を建て直し、世界有数の経済大国を築くにあたって大きな原動力であったのでしょう。しかし、将来のモデルなき個人の時代を生きて行くために、出来合いの有り難い権威(普遍主義)に頼ることはもはや許されないことです。
世界が画一的に文明化され、個人が世界に直接露出する時代には、自らの頭で考え行動して行かねばなりません。しかし、不幸にもこの五十年間、日本人は自分で考えることを停止してきました。今一度、歴史的産物としてしか存在し得ない個人の原点をさぐり、そこから立ち上がるしかないようです。
中世という時代に、名もなき民が念仏の教えに照らされて、自らの内なる「いのち」の深淵を始めて知りました。この「いのち」の実感が自らを変え、新しい生活文化を生み出していく原動力だったのです。この創造の活力がいま必要とされているのではないでしょうか。普遍的なものは具体的・特殊な歴史的身体( only one )を通して、始めて普遍的な力を発揮するものです。
五木寛之氏も本徳寺の取材を通して、心のふるさと探しに大切なヒントを発見されたのではないでしょうか。