本徳寺は一般の檀家寺とは異なり、檀家寺が参拝する。播州の本願寺として運営された歴史の所以である。いまでも年間六〇件ほどの団体研修や参拝がある。本徳寺の法務や行事の合間を縫うように予定が詰まっている。一時間程の時間を割いて、法義を含めた真宗寺院の成り立ちをプロジェクターで解説する。本来の真宗寺院の元型を蓮如上人が開かれた寺内町に焦点を合わせてつまびらかにし、制度化された近世の檀家寺との比較をとおして、寺院の変遷の樣子を知って貰うことにしている。こんな話は本願寺でも聞けないので、マニアにはすこぶる好評である。
団体参拝の大半は浄土真宗本願寺派であるが、中には真宗大谷派や興正寺派や仏光寺派の寺院住職や坊守会の参詣があり戸惑うことがある。特に、仏光寺派のお寺に対して蓮如上人の話は微妙である。真宗大谷派の来訪者には、必ず船場本徳寺への参拝を促すことにしている。
このほかに、宗旨・宗派とは関係を持たない老人大学やシニアカレッジ、地域の老人会や歴史探索クラブ、地域の歴史学習会などの研修会が多い。こんな時には、真宗に焦点を合わすのではなく仏教一般の話をユーモアを交えてすることにしている。