浄土真宗本願寺派(西本願寺派)

法要·年中行事の実情

行事は廟所も含め、年十三回もたれる。参詣される門徒は、播州の各所から来られる。檀徒と檀家寺の関係は本徳寺にはないから、近世を通して培われた、播州の本願寺への帰向の思いからの参詣である。このようなレジェンドを今も担って、本徳寺の行事が執り行われている。

主要な伝統行事は報恩講、春秋の彼岸讃仏会、永代経、蓮如忌歴代年回法要、納骨者追弔法要、播州門徒追弔法要などが毎年もたれ、亀山御坊麗姫会(仏教婦人会)の主催では宗祖降誕会・演芸会と報恩講・追弔会が実施されている。日常的には、毎朝七時からの勤行は近隣の人々とともに欠かすことなく勤められている。

伝統的な仏事は江戸期から続くものが多いが、内容は少しずつ変化している様に思う。参加する人々の意識は時代のものだから変わっていくのは当然である。特に、追弔法要は身近な故人の追慕というわかりやすい行為であるため参詣者が多い。それに対して、宗祖親鸞聖人の法事や蓮如上人の年忌法要は、念仏の歓びを体験し、その報恩の思いが無い限り、むなしいものだ。従って参集は少ない。実情は一般の檀家寺でも同様な傾向にあると聞く。

最近はイベント性を持たせた行事が流行しているが、本末転倒すると単なる興行でしかなくなる。たしかに、客の入りは多いかもしれないが、仏教行事の本質とはかけ離れていく。流行のはやり廃れはあってもその裡に不易なものが息づいていることが大切である。参詣者の多い少ないに係わらず、仏法聴聞・仏徳賛嘆の心相はどんな時代でもお寺の行事の核心でなければならない。本坊と廟所の行事をまとめたものを「参拝のしおり」として作成しているのでご覧いただきたい。

さて、最後にこれら伝統行事の財源について言及したい。何事も行事の執行には経費が必要になる。以前は経費が七〇〇万円を超えていたが現在は行事の縮小もあって四七〇万円程度で推移している。財源は、播州一円の世話役による同行懇志と当日の参加者の寄進で賄われているが、徐々に減少の傾向にあり、現在は三六〇万円程度で、会計上では一一〇万円の赤字となっている。この補填は本徳寺の有力な財源である葬儀・法事のその他の寄付などから賄われている。このような財務上の欠損が続く限り伝統行事の存続は困難になってくる。

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